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Gyorgy Kepesの著書で「man-made object」という本がある。
ランドスケープロダクツの活動のコンセプトであるこの名はここからとったものである。そもそもこの本を知ったのはモダンエイジギャラリーで働いていた頃だから10年くらい前になる。オーナーの高坂さんが良い本だからと説明をしてくれ、目を通してみたが今までに見たことのないタイプの書籍で正直ピンとこなかった。でも何かその編集の方法、とくに写真の内容が非常に印象には残っていた。独立してアメリカ横断買い付けツアー(Donald Juddツアーとも言えたが)した際にメンフィスちかくのKnoxvilleという土地でたまたま入った古本屋でこのシリーズを大量発見。いつかこの本を深く理解せねばらならいと自分で決めていた自分にとってよいタイミングの再会であった。それからの活動の上でこのシリーズがいろんなコンセプトを決める際やビジュアルを考える際に重要な役目を果たしている。なかでもこの「MAN-MADE OBJECT」は会社的にも個人的にも特別な思いのある本である気がする。

このGyorgy Kepesは1906年ハンガリー生まれで、バウハウスの講師で後にシカゴに移動したモホリナギを追って1937年にアメリカに渡り、シカゴのNewバウハウスのカラー部門へ行くことになる。その後1946年にケンブリッジのマサチューセッツ工科大学(MIT)へ移る、そこで、彼は1974年まで視覚のデザインを教える。彼はアメリカの画家、デザイナー、カメラマン、先生とデザインの多くの領域にかなりの影響を及ぼした作家。1966年にこの「MAN-MADE OBJECT」を含む「VISION+VALUE」という数冊からなるシリーズ本を出版している。(この「VISION+VALUE」シリーズは伝説のASPEN MAGAZINEというシリーズの中にもその出版を記したチラシが入っていた)

「MAN-MADE OBJECT」の内容はというと、タイトル通り「人の作ったもの、人造物」であるが、単にアフリカ民族のつくった道具などのハンドメイドのものだけを差しているのではく、冷蔵庫や大量生産物も含んでいるし、イームズの椅子なども含まれていたりする。人が想像し機械を駆使したりして作っているのではあるが、その完成品は何か人の作った物を越えているようにさえ見えてくる。まるで自然のいたずらでそうなっているのかと思わされたり、そのもの自体の機能性は別としてそのフォルムからして何か別の存在に見えてくるのである。柳宗理が提唱するアノニマスデザインという無意識の美を見いだす考えがあるが、このMAN-MADE OBJECTで選ばれているものにはこのアノニマスデザインとして選ばれるものとも比較的同じものがあったりするのも興味深い所である。

これから始めるこのコーナー「MAN-MADE OBJECTS」ではランドスケーププロダクツが考えるマン-メイド・オブジェクツをいろんなエピソードを含めて紹介してこうと思います。

Text by Shinichiro Nakahara

MAN-MADE OBJECT
Gyorgy Kepes
1966年George Braziller 出版

現在絶版
Not for sale

July 11, 2006 8:50 PM |

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